押さえきれない衝動に駆られて僕は、今ここに立っている。
長良川のサツキを事もあろうに2回もバラシ少しばかり落ち込み気味だった
日が続いた週末、いつもの様に時計の針が日付を変える時間まで木片と格
闘していた、渓流用4〜5センチサイズのミノーがなんとか自分の理想に近づ
いてきたので早く答えを出したかった為だ。

そんな時、脳裏を益田川の大アマゴが過ぎった、そろそろアノ流れの中で鮎
を追い回しているだろうか・・・ここ数週間は長良川に集中する為になるべく他
のポイントの事は考えない様にしていた。難しい魚ほど正直なものだ、気持ち
に逃げや迷いがあると思うように釣れてくらないからだ。

しかし、 一度火の着いたキチガイの衝動を抑えるのは並大抵の事ではない。
正直、ここ数日の仕事と雑務で肩こりからくる頭痛があり、体がダルイの
がどうも取り切れないままだったので、「もし明日の朝タイマー無しで5時ぐら
いに目が覚めたら行く事にしよう」っと自分に言い聞かせて床に就くと、
5時キッカリに目が覚めてしまった・・・・

まだ、車の多くない朝のR41号を北上してポイントに到着。地元の方が入っ
てなければいいがと思いながら歩いて行くと、人影は無かった。一気にテン
ションが高くなる、今日は魚が呼んでいる気がするのだ。「ここかぁ〜!」っと
ファーストキャストをするとハント90mmに25センチ程のアマゴが追尾してき
た。少し追尾してくる距離に間があったので、数投してアンカーにチェンジ、す
ると答えは直ぐに出た。流れからはずった所で25cmを一匹、たぶん最初に
追いかけてきた子だろう、魚を生かし袋に入れて直ぐキャスト、着水と同時に
軽く竿をあおるとパンッ!!と竿先が持っていかれた、「これは重みがあるな
ぁ」とつぶやきながら流れを横切って慎重に寄せてくると、しっかり上顎にフッ
キングしているのを確認、そっとランディングした相手はパンパンにお腹ので
た35cmのアマゴだった。

撮影中、弱らせてしまったので行きつけのレストランに持っていくと胃からは
鮎が3匹でてきた、丁度お食事中だったのだろう。身は鱒化し始めたピンク色
で、フキ味噌のホイル包み焼きにしてもらって頂いたら口がとろける程美味し
かった。自然の恵みに感謝したい、節度のないキャッチ&リリースはどうかと
思うのだ。人によって賛否両論あるが僕の場合は「いつも持って帰る訳では
ないし、いつも持って帰らない訳でもない」自分が魚を手にした時にどう思っ
たかが大切だと考えている、これは押し付けではなく僕個人の考え方だ。            

 

岐阜県はトラウト王国と言われるが、1時間〜2時間車を走らせただけで大物から小物までこれ程の濃さで遊べる所も
やはり少ないのだろう、いち岐阜県民として、この地に生まれた事を感謝すると共に、季節の移ろいゆく姿がこんなに
素晴らしい日本と言う国に生まれた事を感謝し、誇りに思いたい。                                                                       

押さえきれない衝動