4月も終わりかけた頃、ようやく一日中竿を振っていられる時間を作る事が出来た。急遽出来た休みに、夜中から
そそくさと準備を始め、少し仮眠を取ってAM3:50に家を出た。

夜空には星が瞬いて天気は上々、昼間は暑くなりそうだった。今回の相棒は、最近チヌ釣りにはまっている妹の
旦那、ヤスオ。そして今回の行き先は九頭竜ダム近辺。本当は御母衣ダムの方が出ればデカイので後ろ髪を引
かれたが、行楽のシーズンとかぶり、帰りの道も混みそうだったので近場で楽しむ事にしたのだ。

AM5:10バックウォーター付近からダイブスプーンで幅広く丹念に探っていく。丁度入った所は流れの芯が向こう
岸に近い方に流れているので飛距離をかせげるダイブスプーンは非常に重宝した。少し離れた所でキャストを繰り
返していると「キタァー!」っとヤスオの声。駆けつけると発色の良いグリーンバックをした銀毛アマゴで、薄っすら
とパーマークも残った綺麗な魚体だった。この後、何度も同サイズが追ってきて楽しませてくれたが、一発大物を
狙い場所移動をする事にした。

昼になり小休止を入れる。お湯を沸かしてカップラーメンに注ぐと、お腹が「ぐぅ〜」っとなる。よく日本の食べ物は世界
的にみてもかなり美味しいと話を聞くが、お湯を入れて数分待っただけでこんなにも美味しい物を作り出せれる日本
人の食に対る感覚の鋭さは、本当に世界に誇れるレベルなんだろうと思った。きっとこんな自然の中で食べるから余
計に美味しく感じるのだろう。ともかく釣り師には有り難い存在だ。

昼から場所をダムより下の九頭竜川本流に移して後半戦の開始。ハント90mmのNEWモデルをガンガン流れの中
に通しながらランガンをしていくと、元気にチェイスをしてくる魚影を確認した。少し後に下がり、食わせの距離を長く取
れるようにして改めてキャスト、U字を書いてトゥイッチしてくるとロッドに重さが掛かった。自分としては満足出来るサ
イズではなかったが、お腹がプックり膨れた食い気バンバンの元気の良いアマゴだった。場所を変えながらランガン
を続けると、水中の石の裏や瀬尻の辺りからも広範囲にやる気のある魚が散らばっていて、教科書通りの釣りが展
開でき、とても面白かった。 

そして夕方になり、もう一度ダムを攻める事に。バックウォーターには産卵期の婚姻色をしたウグイがそこらじゅうでラ
イズしていたが、そんなウグイをかいくぐりヤスオがハント77で一匹追加、更に続けて良方を掛けたがラインが切れ
て逃げられてしまった。6ポンドを結んでいたので、普通にやり取りをすれば上げられないサイズではなかったが、一日
中スナップを結び直さずに使っていたので結び目が弱っていたのだろう。 

ヤスオは相当悔しがっていたが、釣りの魅力や楽しさは悔しい経験に比例して大きくなっていくもの。簡単に100匹釣
れる魚より、苦労して試行錯誤した末にバラシた、たった一匹の魚の方が記憶に残るものだ。釣行の失敗談やバラシ
た話は、より釣りという遊びを楽しくする為の絶対的に必要なアクセントだと思う。釣れなくても楽しい、釣れれば尚楽
しいのが本当の釣りの楽しみ方ではないか、そんな事を思いながら家路についた。

悔しさは楽しさなり