ビッグサイズ デイ

6月中、サツキマスを一区切りさせたので、今年もそろそろ飛騨川に型の良い本流
アマゴでも釣りに行こうと思い釣行に出かけた。

丸々一日の釣りはほぼ一ヶ月ぶり、食費を抑える為の必勝オニギリをこしらえて家
を発つ、現場にはAM4:30に着いた。  国道沿いの気温計は14℃と表示してある。
ココの所、まともな降雨もなく日中は30℃を越える日も続いたので、水温の下がり
きっている朝マズに一日の勝負の殆んどが凝縮されるだろうと推測された。

偏光を使って水中を覗くと、無数のアユ達が元気に泳いでいる、きっと奴らも水面
下で、このアユ達がすきを見せるのを狙っている事だろう。 そんな事を思いなが
らキャストを繰り返すとハント77の後に尺超えの魚影を発見、サイズを落としてラ
ークに替て同じコースをトレーすると、金属的なアタリがあった後、少し緩めに設
定していたドラグが、一瞬走って獲物は何処かに行ってしまった。その後、数投し
たが反応は無かったので場所移動をする事に・・・ 
  
 
次の場所も大物の実績のある所だが、一番良い場所に餌師の方が居たので
手で様子を伺いながら釣っていると餌師の方が帰っていったのでそのポイントに入
る事が出来た。

ルアーはハント77、勝負は早かった。流れの中でハントを踊らすと目の前までチェイ
スしてきて釣れたのはイワナ28cm。まだ居るはずと、少しずつ刻みながらキャスト
をしていくと、波立った水中で金色の魚体がひるがえった。 一気に竿が絞りこまれ
るが、大場所用のロングロッドを使っていたのでロッドワークで流れから手早く引き
離し、ネットに納めた。

計ると42cm、飛騨川の本流イワナらしい金色に輝く魚体だった。写真を撮っている
と小学生が登校し始めたので、恥ずかしくなってそそくさと退散。その後、昼中は近
くの谷に入りアマゴ、イワナ10匹程度に遊んでもらって、再度夕方に同じポントで型
の良いアマゴを一匹釣って
尺上のイワナを一匹バラシたのち、このポイントを後に
した。

そして最後に、朝マズのリベンジをしに最初のポイントへ向かった。時間はPM6:45、
魚が入っていれば戦いには十分の時間だが、写真に納める事も目的の一つなので、
実質のタイムリミットと20分が限界だ。

朝と同じようにベイトはかなりの数が居た。ハントやアンカーで狙える範囲を効率よ
く刻んで行き、その後同じコースをダイブスプーンで更に距離をとって攻めて行く、
なんせ時間が無い、無駄なキャストは一投も出来ないのだ。

そして答えは出た。自分が立っている場所からはかなりの沖目で朝と同じアタリが
あり、空かさずフッキングをくらわす。竿を伝わる重さからも、きっと朝に獲り逃した
アイツだろうと、慎重に寄せるとフックは上顎と下顎にガッチリかかっていた。

フックを外して、ココからが第二ラウンドの始まりだ。時間はPM7:10、太陽は山に飲
まれて直ぐそこまで闇が押し寄せている。自作の生かし袋に入れて回復をさせてい
る間に、石で囲いを作ってイケスを作る。そこに魚を入れて撮影開始。

デジカメのISO感度を、絵として何とか耐えられる800まで上げて、呼吸を止めてシ
ャッターを切る、暴れる魚に「落ち着けぇ〜!」と喝を入れながら数分格闘。 少しカ
メラをかじった方ならシャッター速度1/5〜1/15でクネクネ動く魚にピントを合わせ
て写真を撮る事の難しさが多少理解して貰えるだろう。 無論、絵として残すならフラ
ッシュなんて論外だからだ。

そんなこんなで格闘の末、写真に納まった魚は、パーマークは消えて完全に鱒化
した、体高も申し分ない35cmの本流アマゴだった。

久しぶりに完全燃焼する事が出来た一日だった。溜まっていたフラストレーションは
一気に爆発されて、またゼロに戻ったのだ。 結局人より良い釣りをする為には、的
確なタイミングと、折れない心が必要になってくるんだろうと、改めて思った一日だっ
た。