五月も中盤を過ぎ鱒真っ盛りの中、ようやく今月初の丸々一日釣行に
出かける事が出来た。今月は何かとバタバタしていて20分も走れば行
ける長良川のサツキマスでさえ、満足に行く事が出来ないままでいた
ので、待ちに待った休日だったのだ。

AM5:30自宅からも程近いお気に入りのポイントに入る。数日前に降っ
った雨で水位は15cm程高く、ささにごりが入っていた。「貰ったナ!」
っと一人でニヤつく・・・  

前日の夕方に友人が入って一匹チェイスがあったらしいので、まだ居
る可能性は十分にある。最初はハントでリサーチをかけるが反応がな
いので、アンカーやプロトのデープダイバーを使って深い棚を探ってい
くが、これまた反応がなかった。

「もう上っていっちゃったかな〜」っと直ぐ場所移動を決意。自分の中で
はサツキは待つ釣りではないので、一つのポイントで粘る事はしない。
せいぜい一つのポイントで30分もやれば長い方だ。勿論、地元人の強
みでもあるが、幾らそこにサツキが居たとしてもタイミングが合わなけれ
ばどれだけルアーを通しても無駄なので、こちらの方から活性の高い魚
を探してランガンする方が分があるのだ。

そうこうしながらドンドン上に移動していく。きっとこんな感じで彼らの遡
上に合わせて、次から次へと人間も遡上してくるのだから、中流域に来
る頃には散々ルアーも見飽きているだろうと思いながらも、やはり自分
もごたぶに漏れず、同じ行動をとるのだから、釣り人の飽くなき執念は
スゴイもんだと我ながら関心してしまった。

そして流れついたポイントで、待望の初チェイス! 一瞬だったがサツキではなく20cm程のアマゴだった。せっかくだから釣ってやろう
とルアーをラークの新色「長良アユ」に変えて、小刻みにシェイクをすると、竿先が生命反応を捕らえた。しかし、今見たアマゴの引きで
はなさそうだ。水かさの増した流れの先でグルングルンっとローリングしている獲物エックス。40cmはなさそうだがもしかしたら本命か?
っと期待しながら岸まで寄せると、期待させてゴメンネっと言わんばかりの顔で近づいて来たのは35cmちょい切れるぐらいのニジマス
だった。漁協が放しているのか管釣りの脱走兵かは定かではないが、サツキを狙いに行くと毎年2匹ぐらいはこの子達が釣れてくる。ま
ぁ〜ニゴイじゃないしアブラビレがあるから今回のネタに採用決定!っと嫌がる相手をなだめて数枚の撮影タイム。これにて本日のサ
ツキ釣行は終了、今日は前半戦はサツキで後半戦は新しい谷の開拓と予定を立てていたのだ。

さて、話は本流から、とある谷川へ。
この谷は他のポイントに向かう途中にある川で、前々から気にはなっていたものの、一発大物を狙いに行く途中にある谷なの
で、何時も通り過ぎていた場所だった。本流から反れて川まで下りれそうな所を探すと、少し走った所に川まで続く道がついて
いるのを発見。そのままハンドルを切ってガタゴト道を下ると小さな広場に出た。 川も直ぐ入れる所だったし、案の定エサ箱
や針の袋が落ちていたので、皆ここから入るのだろうと思うと同時に、こりゃ〜結構抜かれてる後かもしれないなぁ〜っと一抹
の不安も過ぎった。

しかし、一先ずやってみる事に。下りて直ぐの所が岩に当たった曲がり角の高ポイントだったので早速ストーキングで近づきキ
ャスト開始。石に着いたコケの状態から普段より5センチ程水位が高いようで、普段よりは流れが大分強い感じだったので、何
時もよりリトリーブのテンポを早めながら流れに乗せて行くと、2匹程イワナが追尾して来るのが見えた。「おっ、居るじゃん居る
じゃん!」っと同じラインを流してみたが、流石にそんなに甘くはなく、一気に静かになってしまった。やはり車の停めやすい所
は魚もかなりナーバスになっているのだろう。

気を取り直して、ドンドン進む事1時間半程。この間に、一瞬は追って来るものの実際キャッチ出来たのは22〜25cm程度の3
匹のイワナだけだった。確かに目ぼしいポイントも少なかったがこれでは如何にも淋しい。丁度、橋が架かっていて上り口が
あったのでそこから上がって車まで歩く。タダでさえ川通しがきつくて疲れているのに3匹だけでは足取りも重たかった・・・

車まで戻った後、今度はもっと上に入ってみようと思い、渓相が変わるぐらいの所まで車を走らせてみる事に。すると、途中か
ら一気に川幅も狭くなりテクニカルなイワナの釣りらしいロケーションになってきた。ここなら竿抜けしている魚も居るはずだと
狙いをつけ直ぐに川まで下りてみた。これが正解で、短い区間で6匹立て続けに連発する事が出来た。ルアーは全てプロトの
フラットサイドシンキングミノー5cm。無駄に移動する事なく時間をかけてヒラを打たせる事が出来るので、流れが速い時や、
食わせのポイントがわずかな所でも威力を発揮してくれる代物に仕上がった。

この後も、怒涛のラッシュは続く事になる。程よい間隔で堰堤がありコンディションの良い魚がストックされているようだった。
もの凄い大物に出会う事はなかったが、ここでは同じ1時間半程の間に16匹のイワナに出会う事が出来たのだ。勿論手の中
に納まる18cm以下は一切カウントしずにである。

今回の釣行では、同じ川の中でも魚の濃い場所とそうでない場所があるので、「どの時期にその川の何処に入るか」と言う事
の重要性を痛感すると共に、トライ&エラーの果てに辿りつく幸福な時間の喜びを、存分に味わう事が出来た。

人から教えられたポイントしか行かない人や、魚の放流日にしか行かない人は、きっと釣りの楽しみであるロールプレイング性
の部分を損しているに違いない。例えその河川や湖が既に有名スポットであっても、小さな冒険心さえ持っていれば、きっと釣
りと言う遊びがもっと楽しくもっと魅力的な物になる事だろう。

冒険心のその先に・・・