この沢ではここが一番大場所だろうし、今回は一人だけの釣行だ。無理をして何か間違いがあってもい
けないので、この二匹でそれ以上奥に入るのは止めにしておいた。1mは積もっている雪によじ登り林道
まで上がる。雪の上にあるのは自分の足跡とウサギやカモシカの足跡、それと落ちてきたもみの木の枝
だけだ。汗を掻きながら車まで戻るとペットボトルのお茶を一気に飲み干した。
疲れた足腰に、そこまでして魚を釣りたいか?っと問いかける自分と、今日は良い魚に出会えたな!と、
満足に浸る自分がいる。毎年同じ気持ちになりながら、結局毎年時間を作って水辺に立ってしまう。考え
た所で、どうしようもなく釣りが好きで魚が好きで自然が好きなんだろう。

どちらにしろ、今年はもう少し白く閉ざされた世界は続きそうだ・・・

さて、車を停めれそうな所に寄せて降りてみる。足跡は無いようだ。
雪さえ無くなれば誰だって簡単に降りられる所だが、今年はまだ長い眠りから誰も起こしに来ていないよ
うだ。一歩ずつしっかり足元を確かめながら沢まで降りて行く。最後に沢に下りる時は要注意だ。上からは
分からないだけで、雪がオーバーハングしていて足元が空洞になっている事も多いからなのだ。なんとか
沢まで下りる事が出来た。後は今年初めて見るであろうルアーを目の前に通すだけだ。この時期はまだま
だ活性が高くないので、瀬になっている所より淵尻や淵の底の方をゆっくりと引いてくるのが効果的である
事が多い。今年の初岩魚も、90度に曲がった流れの緩やかな淵の底から現れてくれた。

最初に淵尻に一匹20cm程の岩魚を見つけた。、そいつを獲る為に長めのアップクロスを打ったのだが、
一旦底近くまで沈めてボトムバンプをさせるようにゆっくり引いて来ると、狙いの岩魚のチェイスポイントに
着く前に、もっと大きな魚影が後ろに着いて来ているの気づいた。機敏にルアーを追いかける感じではな
いものの、ボトムバンプさせているルアーの後方ギリギリをゆっくり着いて来ていた。よく見るとその後ろ
からは4匹程別の魚影が着いて来ている。毎年最初に入ると良い思いの出来る所ではあるのだが、やっ
ぱり今年も溜まっていたようだ。

一先ず冷静に目の前の一匹を獲る事に集中をして、ギリギリまで細かくボトムバンプさせてくると、やっと
目の前で口を使わす事に成功した。他の魚に気づかれないようにさっとそのまま抜きあげてキャッチした
のは尺上35cmの岩魚だった。今年最初の岩魚が尺上だなんて出来すぎかな?っとニンマリしながらちょ
こっとだけ写真撮影に付き合ってもらい、一段下にリリースをした。間髪入れず次のキャストを決めると、
やはり後ろからゆっくり着いてくる。さっきのカラーが見切られている恐れもあったので3投目ぐらいでカラ
ーチェンジをして5投目で2匹目をキャッチした。

ここら辺りは奥美濃スキー場エリアで中部圏は勿論、関西圏からもシーズン中は多くの人が押し寄せる
地区だ。そのお陰で主要な道路には全く雪は無く、凍結時以外は至って安全に車を走らす事が出来る。
しかし、沢まで降りる祖間道はと言うと、全くの手付かずのまま雪が解けて春が来るまで姿を現す事は無
いのだ。この時期の釣りは入る場所、上がる場所を明確にして置かないと大変な事にもなりかねない。何
時もなら釣り上がってから道に出て車まで帰ってこれるコースでも、厚い雪のせいで岸に上がれ
ない事もあるばかりか、雪で出来た自然の落とし穴にはまり動けなくなるケースもあるのだ。

只、悪い事ばかりでもないのがこの時期の釣りだ。
車を停めて釣り場まで降りれる所が限られる為、車を停めてポイントまでの雪上を見ただけで先行者が
居るかどうかが一目で分かるのだ。もしも足跡が無いとなれば、その年の最初の魚は自分の物と思って
もよいと言える。人を寄せ付けない程の大雪が降った年ほど、頑張った人だけが閉ざされた世界の桃源
郷に行けるのだ。

閉ざされた世界

3月初旬、春まだ浅い長良川水系の源流まで岩魚に逢いに行ってきた。

暖冬と言われていた今年の冬だが、雪の量はここ数年では多く、まだまだ釣り人を寄せ付けない程の雪
が白いベールとなり魚達を守っている。今回は一人と言う事であまり深追いはしなかったものの、毎年の
事ながら体力を奪われた釣行となった。

AM8:00ゆっくりめに家を出て高速道路に乗り北へと車を走らす。先ず年券を購入がてら御母衣ダムの今
年の水位確認に行ってみたのだが、御母衣ダムは沢山降った雪があるうえ、2月から降り続いている雨
の影響で、かなり水位は増していて本湖も全体的に濁りが入っていた。急激な水位変動はあまり釣りに
は適していないので、一応確認の為に1時間程やってみたが、あえなく撃沈・・・早々に切りを付けて一山
越え長良川水系までやって来た。