その後、反応が無かったので、さっさと場所移動をした。吉田川は大きな淵が沢山ある水量の多い川だけに長い素行は困難である、そこで良い
所取りのランガンスタイルが良い結果を生むのだが、川入り口が分かりにくいのが吉田川の特徴で、ある程度通っていないと好ポイントを見過ご
して通り過ぎてしまうなんて事もよくあるだろう。

上流に向かいながら車に乗っては川に下りてはを繰り返す間に4匹のアマゴが顔を見せてくれた。しかし残念ながら2匹のバラシがあり、一匹は
対岸までプロトのハードシンキングベンケイを投げて掛けたのだが、ローリングする魚体からして尺は超えているであろうアマゴだった。流石、全国
的にも知られるアマゴのメッカ吉田川、攻略するにはけして簡単な川ではないが、夢のある魚の居る素敵な川と言えるだろう。


もう少しすると今度は全国から鮎ファンが一斉に押し寄せ夏の吉田川を彩る。そして郡上の徹夜踊りと、今年も田舎の城下町は川と共に賑わい
を見せる事だろう。何時までもこの日本らしい風景が残って欲しいと切に願う。それはこの土地も又、水や魚が多くの人を引き寄せ縁を繋いでい
る素晴らしい場所だからだ。

そして数日後・・・
流石に釣行記を書くのに魚の画がないのも寂しいと思っていた所に、奇跡的に時間が取れたので急遽身支度をして川に向かった。家を出たのが
AM9:30を回っていたので今回は1時間圏内で行ける長良川の大支流である吉田川に行く事に。手始めに長良川との合流点から始めようとウエダ
ーを履きラインに新色のサイトグリーンを付ける。しかし、ここで最大のミスを犯してしまった事に気が付いて唖然となってしまった。なんとカメラバ
ックを家に置いて来てしまったのだ。自分のフィッシングライフスタイルには、カメラはロッドやリールと同じくらい無くてはならない物なので、真剣
に取りに帰ろうか悩んだが、今の時間からでは往復1時間半は痛い。仕方が無いので、画質やピントが甘いのはしょうがないが携帯電話のカメラ
で撮影する事にした。

さて、気を取り直して釣り始めると、あっけなく携帯カメラの登場となった。それも25cm程度のピンシャンアマゴ、糸に巻かれた跡も付いておらず
改めて急いで家を飛び出した事を後悔してしまった。それにしても今更ながらにチャートカラーは視覚性が良い。絶えずルアーが何処を流れてい
るか確認出来る為に、魚が後ろに付いた瞬間からフッキングに至るまで一連の動作を全て目で追う事が出来た。釣れたのではなく釣ったと感じる
事が実感しやすいカラーと言えるだろうか。

四月中旬、EGOISTの大嶋氏から連絡が入った。内容は、今年もssyLABELの清水氏が九頭竜のサクラを釣り
に来るから時間が合えば来ないかいっと言うお誘いだった。更に今回は偶々schindlerとEGOISTの両ユーザー
でもあるKawaさんも同じ日程で福井入りをしているという事だったので、何とか時間を工面して福井へと車を走ら
せた。釣りはさておき、会いたい仲間がそこに居る。車を走らせるには十分な理由だ。


昼小前にインターを下りて大嶋氏とKawaさんが待つ市内の釣具屋に向かう。店の前には既に大嶋氏が立ってい
た。車を降りるとがっちり握手をする。何時もながら大嶋氏の無骨な手からは人柄そのものの暖かさが伝わって来
た。直ぐにKawaさんにも挨拶をして3人で昼食をとった後、一日川に立っているという清水氏の所に向かった。

清水氏と少し談笑した後、折角だから渓流に行こうと言う話になり、更にストイックなまでにサクラを追い求める清水
氏に別れを告げ、九頭竜川の上流へと移動する事に。しかし残念ながらこの日は数日前の雨の影響もあり魚のコン
ディションは低く、あちこち目ぼしい所をランガンするもノーフィッシュのままタイムアップを迎えてしまった。

只、友との大切な時間や、普段なかなか聞く事の出来ないユーザーさんの生の声を聞く事が出来て、短い時間では
あったけれど、魚が繋いだ縁で濃密な時を過ごさせてもらう事が出来た事に感謝の念は尽きない。日も落ちて来たの
で、二人に別れを告げ、峠越えをして岐路に着いた。

魚が繋ぐ縁