6月中旬、午前中に仕事を終わらせれたので、思い立って釣りに出かける事にした。丁度土曜日で誰か一緒に行ってくれる人はいない
かと思っている所に、釣友のスエノから「サトシぃ〜釣り行かない?」っと電話が入る。以心伝心とは良く言ったものだ。次の日も時間が
取れそうだったので、久しぶりにテントを出して泊りがけでの釣行となった。

っとは言うものの、既に時間はPM2:30。初日は移動だけで殆ど終わってしまい。夕方に少しだけイワナと遊んでこの日は終了となった。
そして次の日。AM3:40起床。まだ辺りは薄暗いがテントを畳んで朝食を取っていると白々と夜が明け始めたので、ポイントまで少し車を
走らせ釣りを開始した。今回は尺ヤマメに会いに来たのだが、先ずは上流部のイワナの谷から始め、下流に車で移動しながらヤマメを
狙って行く計画を立てていたのだ。

場所を移動して入った所は、民家が立ち並び、里川と言うには余りにも町に近い場所。それ故、あまり釣り人が来ないような隠れ
ポイントだ。渓流師は魚を求めてより奥へ奥へ行きたがる傾向があるが、人の行かない所に行く、人のやらない所をやると言うの
は、良い魚に出会う為の近道と言えるだろう。

葦を掻き分けてポイントまで降りると、雨が降り出してきた。イブニングタイムに雨の降り始め、こんな好条件はない。早速キャスト
開始。反対側の壁に藤づるがせり出して水面付近までオーバーハングしていたので、その少し上流の岸壁ギリギリにキャストして
流れに乗せてベンケイを藤づるの下に流し込む。ナチュラルドリフトさせながらアクションを付けているとオーバーハングを抜け出
した瞬間ロッドに重さが掛かった。しかし、デカイっ!っと思った途端、飛沫と共にベンケイだけがこちらに飛んできてしまった。流
し方、アクションの付け方は自分の描いた通りに出来ていただけに、これは悔しい一匹だった。ふとスエノの方を見ると、しっかり
竿が曲がっていた。スエノはちゃんと良型のヤマメをキャッチしたようだ。

この後もめげずに釣っていると20分ぐらいの間に、自分にも良型のヤマメが2匹釣れた。魚が弱る前に写真撮影をしていると、ス
エノが「そんなちっさいの撮ってんのか」っと笑いながらやってきた。振り向くとラインの先にはデップリ体高のあるヤマメが付いて
いるではないか。しかも、しっかりパーの出た金色に輝く魚体は美しいの一言だった。小さな堰堤の巻き返しの中をベンケイのハ
ードシンキングプロトを使って攻略してキャッチしたそうだ。フックを外す際に消化しかけの小魚を吐き出したので、完全にフィッシ
ュイーター化した固体だったのだろう。サイズこそ27cmと尺に届かなかったものの、スエノにとっても自分にとっても記念になる
素晴らしい魚との出会いだった。

帰り支度をしながらスエノがつぶやいた「またきてぇ〜なぁ〜この川・・・」、「今後は俺に釣らせろよっ」祝杯代わりに買ったコーラを
飲みながらそれに答える。男達の思い出が又一つ増えた夕暮れだった。

入渓して直ぐに最初のイワナが顔を出してくれた。流れ出し付近の岩の下から反転しながら食いついてきたのは23cm程度の綺麗
な子だった。使用したのはベンケイの銀パークロキン、川底の石の色に合わせてカラーセレクトをしてみたのが吉と出た。この後、
スエノもテンポ良く谷イワナをキャッチして、イワナには満足出来たのでイワナ域を抜け出しコンスタントにヤマメの顔が見れる場所
まで下って行く事に。

少しずつ民家の数が増え始めると共に、川幅も安定した水量になってくる。流石は日曜日、車の停めれそうな所には既に何箇所も
釣り人の車があり、中々思うように川に入れないまましばし移動が続く。既に昼を過ぎて時間ももったいなかったので、大場所を外
した祖間道もないような降りにくい所を選んで川に入って見ると、この選択が良かった。


水量も多く、如何にもヤマメの居そうな瀬の中をアップクロスで横切らすと、手のひらサイズのヤマメ達が元気に追って来てくれた。
300m位の区間をスエノと二手に分かれて探って行ったのだが、スエノが狙っていた大きな淵やその付近は、殆ど魚っ気が無かっ
たらしい。やはり皆がやる様な所はプレッシャーも高く、例えそこに居たとしても簡単に釣れるような個体は残っていないのだろう。

川を上がって、しばらく休憩する事にした。好きな事に対する人間の集中力は凄いものだ。朝早くから川歩きに車の運転と、殆ど
休み無く動いていても、釣りをしている間はそこまでしんどいと思わないものだ。きっと皆さんも経験が有るだろう。又、釣りを休ん
でゆっくり体を休め始めると、びっくりするぐらい自分が疲れているのだと、ようやく気が付くなんて事もよくある事だ。ゆっくり足を
マッサージして夕方のチャンスに備える事に・・・

男達の思い出